小さな火種がいつも身体の中で燻ぶっている。 吉原炎上 「なぁ政宗、此処こんなに硬くしてどうしたんだよ」 元親の奴が寝転び、背後に肘を付き上体だけを起こした姿勢で笑った。 計算されたように完璧な角度で肌蹴られた着物の裾から覗く白い太腿、緩く立てられた左足。俺の僅かな反応も見逃さにように慎重深く細められた瞳。狭められた深い青の中で何か生々しいものが点滅している。それはきっと火花だ。俺と同じ、もしくはそれ以上の熱を孕んで燃え盛る情欲だ。 「政宗君はこんなんで興奮しちまうのかよ?可愛いじゃねえか」 元親は無言で立ち尽くす俺をじっと見上げながら、俺の中心に這わせていた足を着物の袂から中に滑り込ませた。指先で挟み込むようにして全体を擦り上げる。 思わず跳ねた腰に、元親の目尻の切れ込みが深くなった。 その元親の表情に瞬間俺の中で屈辱と羞恥が沸き起こったが、それでも視線は元親の揺れる右足と、その付け根で見え隠れする元親自身に釘付けとなって外すことはできなかった。 「おい、何処見てんだよ。お前は大人しく目ェ閉じてみっともなく喘いでな」 徐々に頭をもたげ始める俺自身に元親は猫のような目をして満足そうにそう言うと、爪先で先端を抉ろうと足を更に高く掲げた。その拍子に藤色の布がめくれ上がり、完全に露わになった元親の中心が視界に飛び込んでくる。 「Hey,元親、調子に乗んのもいい加減にしろよ。アンタの方こそこんなに涎垂らしてどうしたんだ?」 俺の股間で遊んでいた右足を素早く掴むと膝裏に手を差し入れ、横に大きく開かせる。 「うわっ、やめっ……!」 薄い布で隠されていた中心が俺の眼下に現れる。普段日に晒されることのない乳白色の腿の間で、元親の熱は完全に立ち上がり涙を流して震えていた。そこを視姦するようにねっとりと見つめてやれば、元親は耐えられないとでもいうように顔を横に反らす。それでも元親自身は素直に俺の視線に反応し、健気にもビクビクと小刻みに痙攣した。 その様子に俺は漸くいつも通りの余裕を取り戻すと、股を大きく開かせたまま先程元親に与えられた屈辱の反撃に出る。 「あーあー、随分嬉しそうに俺のを踏んでるかと思えば、興奮しておっ勃ててたのかよ。人の表情盗み見てネタにするなんざ、中々趣味が悪いぜ」 「そんなんじゃねえっ!」 顔を赤くして吼える元親に、益々俺の中の黒い感情が膨れ上がり炎のように俺自身さえも飲み込む。 「Ha!それが此処こんなにさせといて言うセリフかよ。アンタの此処は俺に見てもらえて嬉しいって泣いてるぜ」 その言葉と共に抱えた足を限界まで開かせて、中心を足でグリグリと踏みつけてやる。 「ああっ!はっ…ひ、痛っ、痛い政宗……っ!」 「本当に痛いって思ってんのか?またでかくさせやがって」 冷たい眼差しで元親を見下ろし、爪先で先端を摘み上げる。元親はそれに大きく肩を震わせると鼻から抜けるような声を出した。 容赦なく足裏で刺激を送り続けると、元親の喉から漏れる声もそれに比例して徐々に大きいものになっていく。 「あっあっ、政宗、嫌だっ、やだあ……あああっ!」 元親は拒否の声を上げながら達すると、震えながら腹の上に白いものを撒き散らした。抱え込んだ右足も吐き出すリズムに合わせてビクビクと痙攣する。 膝を付き最後の一滴が搾り出される瞬間を冷静な表情で眺めながらも、その一方で腰が熱く痺れるような感覚を覚えた。 無意識の内に乾いた唇を舐めて潤わせるのと、閉じられた元親の瞼がふるりと震えたのは同時だった。 「……た、たまには俺に主導権握らせてくれたっていいだろ!」 「Huh!笑えないjokeだな。アンタは俺の下で大人しく啼いてんのが一番似合ってんだよ」 「ふざけんな!俺だってなあ、……うあっ!」 元親の言葉を遮るように後穴へと指を突き入れる。 あっ、あっ、と短く息を吐き出しながら元親は縋るように俺の背中へと手を伸ばした。布越しだというのに背中に触れる指先が熱い。その熱に浮かされるようにして俺は元親の唇に食らい付くと、薄く開かれた隙間に舌を滑り込ませた。歯列をなぞり、その厚い舌を吸い上げれば縋りつく元親の指の力が強くなった。鼓膜のすぐ側で水音が響いている。 舌を引き抜き去り際に下唇を軽く噛んで漸く唇を離す。二人の間にテラテラと光る唾液の糸が引いた。それを唇に結んだまま、顔を移動させて胸の突起を舐め上げる。 「はっ、ん、……そこは嫌だっ、まさっ、……ああ」 「嫌だっつう割には感じてるみてえじゃねえか」 触れる前からすっかり立ち上がっていたそれに軽く歯を立ててやれば、元親は切なそうに腰をくねらせた。空いた手でもう片方の突起をこねるように刺激する。元親は胸を吸われて感じるのに抵抗があるらしく、いつもそこを触られるのを拒んだ。だがその一方で俺はそんな元親の様子に確実に欲情していて、拒まれる度にしつこくそこを弄ぶのが好きだった。首を振りながら身体を跳ねさせる元親を見つめていると、実はこいつだって内心ではこうされることを望んでいるのではないかとさえ思えてくる。 執拗に内壁を擦っていた指を二本に増やして、それまで意識して触れなかった前立腺に思い切り爪を立てる。 「ひ、ああ!ああっ……あ…」 元親の身体が仰け反り、面白いほどビクビクと跳ねた。 再び力を取り戻し始めた元親自身を握ると、激しく上下に扱き上げる。 先端を親指で重点的に刺激し、グチュグチュ酷い音を立てて内側から摩擦をし続けると元親は狂ったように頭を振った。限界が近い。 「あっ、あっ、まさむねっ、はああ……!」 元親が今まさに昇り詰めるという瞬間、あれ程までにしつこく追い立てていた指の動きを全て止めた。 情けない顔をして悲痛な声を上げる元親の様子に、唇がこれ以上ないほど下品に曲がるのが自分でも分かった。ジンと腰の奥が疼く。きっと今俺は酷い顔をしている。目を獰猛に光らせて、舌なめずりをしだしそうな表情を。 「なあ元親、主導権が欲しいっつってたよなぁ?」 差し入れた二本の指を開いてそのままゆっくりと前後に動かすと、元親の中が俺が入ったときのようにきつく締め上げてくる。 「はっ、……ん、言ったけどよう」 「ならできるよな?」 おもむろに着物を脱ぎ捨て、怒張した俺自身を晒してニコリと微笑む。 腰の窪みをゆっとりとなでると、元親がゴクリと唾を飲み込むのが分かった。 本当に元親は素直な奴だ、それが良いことかどうかはともかくとしても。 元親が俺の怒張を掴み、少しずつ腰を沈めていく。 白い液を滲ませる元親の中心も、俺自身が呑み込まれていく様もありありと見て取れて正に絶景だ。目を伏せて必死に俺を受け入れる元親に俺の中に眠る加虐心が刺激される。 「随分よさそうな顔してるじゃねえか。さっさと入れちまえよ」 「んっ、…うるせえ……あっ、は…」 ようやく下腹部に双尻が当たる感覚がして、元親が甘い溜め息をもらした。 その瞬間を待ちわびていた俺は、休む暇も与えずに下から思い切り突き上げてやる。 「ひあっ!ちょっ、待てって……、あっああ」 「待てる訳ねえだろ、どんだけ煽られたと思ってん、だ!」 その言葉と同時に元親の腰を掴み、先程まで散々に甚振っていた前立腺の辺りを思い切り抉るようにして腰を動かすと、元親は悲鳴のような声を上げて仰け反った。目の前で揺れるその中心もピクピクと震えている。 元親も無意識の内に律動に合わせて腰を揺らめかせ始める。 白く上下に弾む身体が視界を覆う。腰を落とす瞬間を狙って突き上げてやると、その度に普段よりも甲高い声を上げて俺の上で身体を震わせた。 「あっ、あっ、政宗っ、………はあっ」 汗や唾液にまみれた酷い顔をして元親が腰を振る。 いつも家臣たちの前で豪快な笑みを浮かべ、先頭を切って歩くこの男にこんな表情 をさせているのが自分だと思うと、どうしようもなく胸が高鳴った。 強度を増した俺自身に反応するように、元親がきつく締め上げる。 その衝撃を眉を寄せてやり過ごすとそのまま元親の身体を前に倒し、震える太腿の間に身体を割り込ませて素早く体制を入れ替えた。中に入った物の角度が変わり、鋭角に内部を擦るのに元親が濡れた声を上げて腰を痙攣させる。 瞼の裏で火花が散っている。もうここまで来れば二人絡み合って転落し、落下し続けるだけだ。 足を抱え上げ、限界まで大きく開かせる。ラストスパートをかけるように自身を入り口まで引く抜き、思い切り奥へと突き入れた。絡みつく肉の抵抗にも容赦なく腰を進め、竿全体を使って大きく腰をグラインドさせる。 「ふああっ、あ、いいっ…いいっ……」 涙を流して快楽を訴える元親に上半身を近づけると、白い鬼は俺の頭を掻き抱いて夢中で舌を絡めた。それに応えてやりながら、それでも腰の動きを止めることなく互いの恥骨がぶつかるほどに激しく律動を続けると、口内の舌が引きつれたようにビクビクと跳ねた。呼吸を荒げながら必死に唇を貪りあい、どちらからともなく唇を離し再び行為に没頭する。元親の内部が収縮し、断続的に俺を締め上げる。それに痛いほどの快楽が脳を突き抜け、ビリビリと揺さぶった。 「ハッ、たまんねえ……!」 「はあっ、あっ、まさっ……ああっ、政宗っ……!」 衝動のままに元親の身体を反転させると四つん這いにさせ、熱く脈打つそこを上から削り取るように荒々しく貫いた。 「ああっ、あーっ…あっ、あっ………!」 元親が大きく身体を震わせ、ブルリと腰を揺らして精を吐き出す。 痙攣する体内に、俺も眼界まで堪えていた熱い飛沫を思い切りぶち撒けた。 「くっ……、…は………」 腰から頭の頂点までゾクゾクと痺れが走り、何も考えられなくなる。 最後の精まで注ぎ込もうと浅く腰を振ると、元親の内部もそれに合わせてビクビクと震えた。 腰を掴んでいた手を確かめるように元親の下腹部へと這わせると、そこは湿ってぐっしょりと濡れていた。粘ついた熱の残骸が指に絡みつく。 眩暈がした。挿入した後、前には一度も触れていないはずだった。 後ろの刺激だけで達したのは今回が初めてだった。 思わず目を閉じ、ドクドクとうるさい鼓動の音に耳を澄ませる。 未だに繋がった箇所から熱が引火して、全身を燃やすようだった。熱い。 再び力を取り戻し始めた俺自身に、布団の上に突っ伏していた元親がピクリと揺れた。まだ足りない。まだ炎は納まらない。 ゆっくりと抽送を始めると、元親が思わずというように溶け切った声を漏らす。 俺はその瞬間、互いの身体に伝染してゆく熱に理性が蒸発する音を聞いた。 まだ火種は燻ぶり続けている。火花を撒き散らし、俺の中で燃え盛っている。 (08/0409)
チカちゃんは足癖が悪そうだなーと思って。 直接的なエロって何でしょう… |